2013年3月31日日曜日

2013.03.31 長谷川慶太郎 『日本企業の生きる道』


書名 日本企業の生きる道
著者 長谷川慶太郎
発行所 PHP
発行年月日 2013.03.22
価格(税別) 1,500円

● 本書の出発点は次のようなテーゼ。
 私は以前から,「二十一世紀は“デフレの世紀”となる」と言い続けてきた。だが,「デフレだから不況なのだ」とする見解には与しない。ましてや,小手先の金融政策や財政政策によってデフレを克服すれば,即,景気がよくなるとも思えない。やはり日本の場合,景気回復の原動力は“モノづくり”であるべきだ。(p2)
● 労働者保護を優先すると企業の活力を削ぐ。その結果どうなるかといえば,労働者が困ることになる。
 労働者保護を続けているフランスより,経営者が権限を取り戻して,企業が大胆なリストラを続けているドイツのほうが,失業率は低い。企業が競争力を取り戻さなければ,多くの従業員の雇用を維持できなくなるし,また,新規雇用も生まれないということだ。(p26)
● 長谷川さんはアメリカを高く評価する。政治決定の迅速さをはじめとして,アメリカには他国に真似のできないものがたくさんある。シェールガス革命によって,エネルギーコストが劇的に下がれば,製造業もアメリカ国内に戻ってくる。
 アメリカは,独自の選挙制度によって,他国よりも目先の金銭的なことを気にすることなく,長期的な施策を打ちやすくなっている。 また,スピーチ力を鍛えられ,予備選挙によって選び抜かれた者が本選挙に出て,そこで勝ち抜いた者が当選する。そうして予選を勝ち抜いて鍛えられた政治家たちが,国際交渉の場に出てくるから,他国よりも相対的に優位になるのは当たり前だ。(p72)
● 対して,中国は破綻の寸前にある。日本政府の喫緊の課題は,中国の在留邦人14万人をどうすれば救出できるか,それを考えてすぐに法改正をはじめとする手を打つことだという。
 一九八九年に起こった天安門事件は,十万人が天安門広場に集まってデモを行なって起きた大事件であった。その天安門事件と今日のデモとの最大の違いは,参加者の属性である。天安門事件は,「学生と知識人の運動」であったのに対して,今日のデモは「失業者の運動」である。 天安門事件は一日で運動が切り崩されてしまったが,失業者のデモが一日で収まることはあり得ない。失業者たちは,命が懸かっているため,簡単に矛を収めない。いったん火がついたら,打つ手がないほどに広がっていくはずである。(p91)
● 中国ではもはや人民解放軍をコントロールする力が政府にない。この状態で中国に政変が起これば,内戦が勃発する。特に,中国東北部を管轄する瀋陽軍区が問題だ。
 軍事的に脅しをかけられ,また,一方で支援を受けているうちに,北朝鮮は,軍事,経済などのすべての面で,瀋陽軍区の意向に逆らうことができなくなってしまった。金正恩は,瀋陽軍区の“操り人形”といってもいい。 北朝鮮のミサイル発射は,瀋陽軍区に伺いを立て,その許可を得て踏み切っているとみて間違いない。(p104)
 北朝鮮がミサイル実験や核実験をすればするほど,中国政府は窮地に立たされていく。それが瀋陽軍区の狙いである。中央政府に対する脅しのために,瀋陽軍区が北朝鮮を利用しているのである。 表面的には,「北朝鮮」対「国際社会」にみえるだろうが,その真相は,「瀋陽軍区」対「北京中央政府」という中国国内の内部抗争である。(p106)
 ● 韓国のサムスンには一定の評価。
 サムスンの薄型テレビ技術は,ソニーやパナソニックの技術を利用しているとみる向きもあるが,見当違いである。かつては,サムスンは日本の技術者を引き抜き,日本の技術を導入していた。だが,それはひと昔前のことである。サムスンは巨額の研究開発投資を続けており,地力で技術開発を行っている。(p124)
● しかしながら,そのサムスンをもってしても,重電部門は手に負えない。この重電部門が日本の宝である。これがあるから,日本経済の将来図を明るく描くことができる。

● 日本はアメリカを含むすべての国に対して,特許収支が黒字。企業が研究開発を怠ってこなかった成果だ。特許の重要性について,次の例をあげて説明する。
 グーグルは,モトローラの事業がほしかったのではなく,「アンドロイド」を守るための武器として,モトローラがもっているとされる約二四五百件の特許がほしかったのである。“特許ポートフォリオ”を強化することは,ハイテク企業の重要な戦略となっている。(p146)

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