2013年1月24日木曜日

2013.01.23 浅田次郎 『浅田次郎とめぐる中国の旅』


書名 浅田次郎とめぐる中国の旅
著者 浅田次郎
    但馬一憲・森清(写真)
発行所 講談社
発行年月日 2008.07.30
価格(税別) 1,500円

● 小説を読まなくなって久しい。が,気になる作家は何人かいて,浅田次郎さんもそのひとり。極道ものを経て,最近は中国近代史から素材を得て力作を書いている。その程度には知っている。
 本書はその小説の舞台になった北京,瀋陽を中心に中国を紹介したかなり渋めのガイドブックでもあり,浅田次郎さん自身のプロフィールを紹介する内容にもなっている。

● 巻末のインタビューが本書の白眉だと思う。ここからいくつかを転載。
 (中国に関心を持つきっかけになった本や,影響を受けた作品などはありますか)最も愛読したのは,文学なら吉川幸次郎,歴史なら宮崎市定,両先生のご著書ですね。(p135)
 宮崎市定は,あの谷沢永一さんが推奨してやまなかった人。昔,中公文庫の何冊かを読んだことがある。『アジア史概説』は雄渾かつ明解で,驚嘆したものだ。そのわりには,あまり踏み込むことなく終わってしまったのだが。
 どれだけ難しい題材を扱おうと,分からないという読者がいたら作家の負けです。僕は分かる人間にだけ分かればいいという芸術は,間違いなく二流だという芸術観を持っています。頭で考えるのではなく,一目見ただけで驚きがある,感動するのが本物なんです。(p145)
 僕は古文書オタクでもあり,若いころは古文書を読み漁っていました。(中略)特に京都大学図書館には珍しい史料が多いので,それこそ暇さえあれば一日中調べていました。 (中略)僕は不思議な短編をいくつも書いていて,あんな物語をよく思い付けますねと聞かれることがあるのですが,自分が考えたように見せかけながら,実は昔読んだ古文書を参考にしたというケースが多いですね。(p146)
 ネタ探しから,面白い小説が生まれることはありませんから。僕は取材に行くときもノートを持ち歩かないので,編集者はいぶかしがるんです。(中略)メモができるようなことは,パンフレットにも観光ガイドにも書いてある。そこに載っていない何か面白いことは,漫然と見ているとぶつかるものなんです。(中略)ネタになる話は,探してもダメですね。探す暇があったら,片っ端から数を読んだ方がいい。(p147)
 僕は小説を書くのも好きだけれど読むのも大好きなので,作家が嫌だ嫌だと思って書いている小説はすぐにわかります。(中略)作者が楽しんで書いている小説は,やはり面白い。たとえば司馬遼太郎さんの作品の躍動感は,司馬さんが面白がっているから出るものです。(p147)
 たとえ大嘘を書くにしても,それが本当であっても不思議ではないと思わせるレベルまで史料を用意しておかなければならないし,自分の中にそれを補強するだけのロジックを用意しておかなければなりませんが,それは難しいことではない。学生の気分で謙虚に史料を学び,小説家という別人格に豹変すればいいだけです。(p149)

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