2013年1月14日月曜日

2013.01.13 赤瀬川原平 『赤瀬川原平が読み解く全作品 フェルメールの眼』


書名 〔新装版〕赤瀬川原平が読み解く全作品 フェルメールの眼
著者 赤瀬川原平
発行所 講談社
発行年月日 2012.06.15
価格(税別) 1,800円

● 本書に掲載されているフェルメールの作品は36点。彼の「全作品」である。それに赤瀬川さんが解説を付けているわけだ。

● 彼のフェルメールに対する視点は,本書の冒頭「はじめに」で明らかにされている。
 フェルメールの絵は光学的で,神秘的である。(中略)二律背反というか,暖かいのに冷静,穏やかなのに研ぎすまされている
 筆づかいは要所要所かなり粗いのに,描かれた絵の本物そっくり感はぞくっとするほどだ。でも何にぞくっとするのだろうか。一つは視覚のレンズ効果が描かれていることだと思う。
 カメラ以前に,フェルメールはその絵の中にレンズ効果を描き込んだのである。
 ふつうならもう少し,そのポーズなり表情なりを,“絵らしく”安定して落ち着いたところを描くものである。でもフェルメールの絵は違う。人々の生活の生の瞬間をすぱっと正確に切っている。その時間の切り取り方のところでも非常に写真的で,大胆である。画面に描かれた人物の,とくに複数の場合の互いの心理関係などが,それぞれの動作や表情の上で,見事にその瞬間に凍結されている。
● 「中断されたレッスン」でも,「愛や身分によって視線の強さや屈折度が変わる,そういう視線そのものの振舞いをとらえることが,フェルメールの興味なんだと思われてくる」(p30)という。

● 「娘の頭部」では,「生きた表情が画布に完璧に再現されると,それだけでおのずから霊的な力がやどるのではないかと,そんなことを考えさせる」(p41),と。

● しかし,「信仰の寓意」に対してはこんなふうにも。
 地球儀を股にかけた格好,床の上のかじったリンゴ,血を吐いて転がる蛇。マンガ的というか,劇がみたいだ。(中略)お手のものの手前のカーテンも,何だか安っぽいコピー商品みたいだ。やはり絵の中に思想が入ると,フェルメールでもこうなる。(p88)

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