2012年11月27日火曜日

2012.11.25 菅付雅信 『はじめての編集』


書名 はじめての編集
著者 菅付雅信
発行所 アルテスパブリッシング
発行年月日 2012.01.25
価格(税別) 1,800円

● 読みものとしても面白い。「池袋西武百貨店のコミュニティカレッジで2010年10月から2011年3月までの半年間,計12回に渡って行った「編集力講座」の講義録を元に大幅に加筆修正したもの」とのこと。元がコミュニティカレッジの講義録のゆえか,読みやすいんですな。

● ベタな教訓を含むけれども,以下にちょっと多めの引用。
 雑誌では、『メトロミニッツ』の羽田空港国際ターミナル特集「羽田なう。」で,篠山紀信さんに完成間近の国際ターミナルでLALとANAのキャビン・アテンダントを一緒に撮影してもらいました。実はこの永遠のライバルである2社のキャビン・アテンダントが一緒に撮影されることはまずないそうで,よそよそしい撮影現場になるのではと危惧していたのですが,そこは篠山さん,いやそういう難易度が高いからこその本領発揮。最初から彼女たちを乗りに乗せて,まるで以前から気心の知れた仲間であるかのような和気あいあいとした撮影になりました。篠山さんのテンションの高い撮影と,それにどんどん乗せられてますますキレイになるアテンダントの方たちを半日見ていて,「スッチー萌え」という気持ちが少しわかりました。(p76)
 編集者は上手く写真も撮れなければ,質の高い文章も書けず,デザインもできないわけです。つまり,何もできない人なんです。(中略) でも,自分ができないことには人一倍自覚的になることによって,自分よりも遙かに才能があるスペシャリストを見抜き,集め,彼らを指揮することで,何でもできる人でもあるのです。(p80)
 編集をする上で,まず言葉がしっかり固まらないと,なにを伝えるのか,どういう風に伝えるのかが揺らいでしまいます。言葉にすると自分の考えが対象化されます。言葉がなかなか決まらない時は,考えがうまくまとまっていない時です。(p83)
 「美しく正しい文章なんて,退屈で眠たくなるだけです。そんなものはシロウトにまかせておけばいい。プロは客を退屈させてはいけません」と永江(朗)さんは(中略)言います。(p90)
 文章力はきちんと鍛錬を積むことで上達します。一般論になりますが,いいライターや作家,コピーライターを見ていて思うのは,文章力は読書量に比例するということです。彼らは例外なく読書家です。良い文章を書こうと思うなら,読書の質を保つことが肝心だと思います。(p116)
 僕は今までに内外数百人のクリエイターにインタビューをして,世間から「天才」と呼ばれる人たちからもたくさんの話を聞いてきましたが,その経験を通してひとつだけ確信をもって言えることがあります。 それは「この世に生まれつきの天才はいない」ということです。皆,すさまじく勉強し,努力し,他人とコラボレーションし,時には野蛮なまでに他人のアイデアを取ってきています。それが天才の実情なのです。(p122)
 イメージをつくるにはイメージのアーカイヴ(書庫,保管所)をつくることが大事です。天才と言われている人たちがすばらしいイメージを創り出せるのは,頭の中に豊かなアーカイヴを持っているからなんです。(p124)
 僕がイメージをつくる上で常に意識するのは,なるべく砂糖を入れないということです。(中略)イメージにおける砂糖の代表とは,僕が思うに「笑顔」「子供」「動物」です。このどれかを入れるだけで,簡単にハッピーな印象を与えることができ,多くの人に受け入れられるものになります。(中略)誰がどのメディアで発表しても,ある程度好感を得ることができる素材なのです。そこに独創性はあまりありません。(p156)
 編集は,そこに含まれた言葉やイメージ単体を伝えるのではないのです。それらをひとつにまとめあげる編集の形式そのものにメッセージ性があり,その形式を自覚して上手く操ることができれば,そのメッセージは飛躍的に強く受け手を触発できるのです。それが編集の醍醐味です。(p164)

0 件のコメント:

コメントを投稿