2012年10月26日金曜日

2012.10.26 松浦弥太郎 『くちぶえサンドイッチ』


書名 くちぶえサンドイッチ
著者 松浦弥太郎
発行所 集英社文庫
発行年月日 文庫版:2008.04.25
         元版(単行本):2003.10
価格(税別) 648円

● 『本業失格』に続く著者のエッセイ集。「松浦弥太郎随筆集」と副題が付いている。エッセイと随筆の違いを扱った文章が『暮しの手帖日記』にあったと記憶しているが,その定義によればこの本は随筆集でよかったのかどうか。
 が,そんなことはどうでもいいですよね。詩じゃないかと思うのもあり,掌編小説っぽいのもありで,要は面白い。

● 安いウィスキーで作ったハイボールをやりながら読んだ。途中で酔っぱらって,読めなくなって本を閉じる。なんだかとっても幸せです。

● 魅力的な男女が登場する。その中にサラリーマンはひとりもいない。誰もが直接自分の足で立っている人ばかりだ。組織に依っている人なんか出てこない。

● 『本業失格』同様,青春記として読むことができる。読むと若返るような感じがする。
 ぼくにも青春らしきものはあった。穴があったら入りたくなるような,なければ掘ってでも入りたいような出来事もあった。なんと愚かだったことかと思うんだけど,その愚かさは今も変わっていないだろうな。そういうのって(どういうのだ?)年を重ねたからといって賢くはなれない分野ですよね。行動に移せる活力を失ったから,馬鹿を出さないですんでいるだけのこと。
 著者の青春は世間のモノサシで測ると破天荒なもので,それゆえに奥行きとほどよい拡散があって,それが本書を面白いものにしてるんでしょうね。

● 巻末の角田光代さんの解説もありがたい。松浦さんをして「この人の内には女の子魂がある」と表現する。さすがにプロは巧いことを言うものだ。
 ほかにも松浦さんの魅力をあぶり出してくれていて,言われてみれば,そうそう,そうなんだよねと頷きたくなる。

● 松浦さんが友人に言われて忘れられない言葉として紹介している次の文章を引用。
 誰かを好きになったときの気持ちを思い出すといい。そんなときは寝ても覚めてもその人のことを考え,その人の恋人になるためだったらなんだって努力するだろう。一生懸命に自分を伝えるだろう。結果がどうあれ悔いのないようにね。そんな気持ちを,仕事や自分がやり遂げたいことに向ければ成功しないわけがない。だから,一度でも恋愛をしたことがあれば,それだけで大きな自信を持っていいんだ。少なからず,誰かが一度でも自分を必要としてくれたということだからね。(p267)
 恋愛ってすごいね。この程度に男って単純というか,弱いものなんだろうねぇ。
 

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