2012年10月1日月曜日

2012.10.01 松浦弥太郎 『松浦弥太郎の新しいお金術』


書名 松浦弥太郎の新しいお金術
著者 松浦弥太郎
発行所 集英社
発行年月日 2012.03.10
価格(税別) 1,200円

● 本書はこうすれば資産家になれるとか,富豪になれるとかという類の本ではない。トイレの蓋をしめるとお金が貯まるといった話も出てこない。節税や蓄財術の指南書でもない。

● お金とのきれいなつきあい方を説いている本ですね。お金ときれいにつきあうにはどうすればいいかってのを,考えましょうよっていう本。
 お金について考えることは,仕事について考えることであり,時間について考えることであり,家族や友人について考えることであり,生活や人生に思いをめぐらすことでもある。
 本書はだから,人生読本であり,生活エッセイである。

● でも,たとえばこんな話は出てくる。
 「お店のポイントカードの類はいっさい持ちません。無駄なものでごちゃごちゃと財布を膨らませてお金さんに窮屈な思いをさせたら,ポイントを貯めたぶんのお得より,ずっと大きな損失につながる」(p37)

● こういう書き方をしているけれども,ポイントカードでパンパンになっている財布って,相当に薄汚く見えるものだし,その店のカードが出てこなくてバタバタと財布の中を探している手合いは,店員と後ろに並んでいるお客を待たせることに罪悪感を感じない困ったちゃんだ。
 それより何より,ポイントを貯めるって,経済観念がしっかりしているというよりは,品性下劣を窺わせる。そんなわずかな目先の得を得るために,個人情報を裸にして差しだすことができるってのも,ウィズダムの対極に属する人間であることの証明ではあるまいか。
 そういうことを,上のような文章でそっと訴えたかったのだと思う。

● まぁね,ポイントカードの収集家がいてもいいと思うんですよ。世の中にはそういう人もいるよなぁって思ってればいいだけだから。
 ところがねぇ,自分の身近にこれがいるとね,つまりうちのヨメがそうなんですけどね,時々,離婚の2文字が頭をよぎることだってあるからねぇ。
 特にね,来店ポイント(来店しただけで1ポイント=1円分が付くってやつ)をゲットするために,数分間を費やすなんてねぇ。百円で1円を買ってるようなものだよなぁ。
 まぁ,ヨメのために好意的に解釈すれば,そのこと自体がリクリエーションになっているんだろうね。でもなぁ,それがリクリエーションになる女って。あ,また離婚の2文字が頭をよぎっていった。

● それじゃマイルを貯めて飛行機に乗るってのもイヤなのか,と突っこまれるかもな。貯まったマイルで香港に行ったりハワイに行ったりはしたなぁ。
 さらにいうと,ホテルのカードね。スターウッドとか。宿泊してポイントと貯めると,ゴールドとかプラチナ会員になる。部屋をアップグレードしてもらえたり,エグゼクティブフロアのラウンジがタダで使えたりするんだよね。
 美味しい思いをしたなぁ,そういえば。ポイント収集家のヨメのおかげなんだよなぁ。うぅーん。

● 著者は人生に対して真面目な人なんですね。常識的な意味でストイックではないけれども,著者の流儀があって,そこから外れることには極端にこだわる人じゃないかなぁ。
 「お酒も呑まず,夜は10時に寝る」(p152)というスタイルにも,きちんとした理由があってそうしているのだろう。かくたる根拠と背景があってのことだから,それを崩すことには大いに抵抗するんだろうなぁ。

● そんな著者が言っていることをいくつか引用。
 二万円のものを買うなら,二万円のごはんをたべにいくほうが,学び多き自己投資となります。少し背伸びをする経験をし,懸命に努力しないとついていけないレベルに飛び込むことは,自分磨きになります。(p125)
 弱者はまた,人の思いやりに感謝することを知りません。 「私は弱いのだから,手を貸してもらって当然だ」 弱者は「弱い私」という旗の下で,自己主張だけしているのです。差し出される思いやりは,やがて哀れみに変わるでしょう。(p159)
 僕が尊敬している,閑静な街の大邸宅に住むお金持ちの老婦人も,運転をやめた今,日頃の足はバスだと話していました。 「タクシーなんて,経済的じゃないでしょう」 ちいさなお金を使わないこと。これはお金持ちのたしなみかもしれません。(p170)
 「お金を儲けるには,夢を追ってちゃダメだ」と言う人がもしいたら,嫌われることを覚悟で,「だから貧乏なんだよ」と僕は言うでしょう。(p178)

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